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癌総合知の勧め3

2021/04/05

癌遺伝子治療

 前回、癌抑制遺伝子が変異すると、

ブレーキが壊れているので、癌細胞が増殖しやすくなることをお話ししました。

では、壊れたブレーキは修復できるのでしょうか。

結論は、現時点では不可能です。

しかし、新たに新鮮なP53を点滴などで、体内に入れることが可能になりました。

これが遺伝子治療です。

 遺伝子治療の歴史は意外に長く、米国では30年前に開始されていますが、ことごとく失敗に終わっていました。

しかしながら、研究者たちの長年の努力の結果、技術が進歩し、

例えば、わが国でもある種の筋ジストロフィーに遺伝子治療薬(リスジプラム)が健康保険適応になりそうです。

もはや遺伝子治療は夢の治療ではなくなりました。

 

 癌への応用も広がり始めました。

最新医学では、P53のような癌抑制遺伝子を遺伝子治療で癌患者の細胞に封入出来るのです。

これが癌遺伝子治療です。

ベクターと言うウイルスの運び屋としてよく使われるのが、

風邪の原因となるアデノウイルスで、ウイルス内にP53等を封じ込めて点滴で体内に入れ、

体の細胞を感染させることで癌抑制遺伝子を体内に導入し、従来のうまく機能していない癌抑制遺伝子を補強します。

 

 この医療の特徴は、ウイルス感染が直ちに起こるので、週1回ペースの投与を数回施行すると、

直ちにマーカーが下がる人がいることです。

個人差はあるものの、即効性が期待できる治療です。

当院では、個人に最適な3種類の癌抑制遺伝子を組み合わせて点滴しています。

ご興味のある方はお知らせください!

 

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